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クリア塗装の一長一短

塗装にもさまざまな種類がありますが、今回はタイルの塗装についてご紹介します。

タイルに塗装?と思われるかもしれませんが、塗装をすることで建物の意匠性をガラっと変えたい場合などに用いることがあります。たとえば、カラフルなモザイクタイルに塗装をすることで、落ち着いたイメージに一新するなどが可能です。

また、意匠性を変えない塗装もあります。
それがクリア塗装です。クリア塗装では、その名の通り透明塗料を塗布して、タイルの表面にクリアな塗膜を作ります。既設のタイルのパターンや色を生かすことができるクリア塗装ですが、塗装のおかげで艶も生まれるので、汚れをはじき易く美観の向上が期待できます。雨だれの汚れなどでタイル表面が著しく汚染されているような部位は、クリア塗装も有効かと思われます。

ここまで聞くと、クリア塗装がすばらしく、ぜひともやった方がいいように聞こえますが、クリア塗装には大きな欠点もあるのです。

それは、紫外線に対する脆弱性です。
そもそも、塗装の代表的な役割としては①美観の保持 ②劣化の防止 が挙げられるのですが、クリア塗装は透明ゆえに紫外線を通しやすいのです。(UVカット機能があれば幾分かよいかもしれませんが)

もちろん、普通の塗料であっても紫外線で表面の劣化は避けられないのですが、クリア塗装との大きな違いは、下地にも影響が出てしまう点です。

少しわかりにくいかもしれませんが一例として、黒色の日傘とビニール傘があるとします。日差しが強い日に黒色の日傘を使うと、日傘の表面は劣化が進みますが、肌は守られますよね。ビニール傘の場合は、遮光効果が期待できないので、肌は焼けてしまうと思います。
傘同様、クリアの場合はダメージをダイレクトに受けてしまうのです。

タイルのクリア塗装が劣化してしまった場合、美観性を向上させるためには一度塗装をはがして再度塗布する必要があるため、タイルのクリア塗装は改修にコストがかかるのです。
(ちなみに、劣化した場合は白っぽくなってしまい、日焼けしたあとの皮膚がめくれる感じに少し似ています。)

以前ご相談いただいたお客様は、すでに一部クリア塗装を採用されていたのですが。日照時間が少ない面ということもあり、状態よく保たれていました。
確かに、クリア塗装の改修は大変なのですが、メンテナンスがしやすい場所や、日当たりが少ないけれど、人目に付きやすい場所などに施工していただくのは、良いアイディアだなぁと思いました。

最後になりますが、タイルは無機物なので、雨だれ、エフロ等気になる場合も、性能的な問題はないとされています。クリア塗装を検討する場合、美観の保持と、改修の手間を天秤にかけて、考えていただくのがよろしいと思います。

 

猪股

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